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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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調査記録3284-Xw1


対象:Ren・Ramly

現象再現を確認した。
以上は私が見たままの記録である。


某月某日。
私は例のごとく対象の観察を続行していた。
養祖父の家の中に対象のために与えられた小さな一室がある。
夕食後、そこに1人戻った対象は、その日養祖父と行った魔術の特訓を復習するかのように読本を広げていたが、やがてふと目を上げた。
見つかったのかと私は窓の外で気をもんだが、どうやらそうではなかったようで、対象は表情を翳らせると首から下がっていた懐中時計を取り上げた。

(この時、対象は何事か呟いたが、残念ながら内容は聞こえなかった)

懐中時計のフタを開けると、肩を落とし読本を閉じる。
私は思わず息を飲んだ。
いつの間にか対象の左目が金色に輝いている。


<虹彩異色症>は左右の目で虹彩の色が異なる症例だ。
ヘテロクロミアやオッドアイとも言う。

何かの条件でその状態が発動するのも、同じように言うのだろうか?
私は対象をさらに注意深く観察した。
ぼんやりとその身体が光っている気がする。
さすがにそれが何の予兆か分からぬ私ではなかった。
ヘテロクロミアになるのは、例の力が発動する時だと聞いている。
ならこの状態もまた、その発動の布石なのだろう。
私に出来ることはその力が発動するのを見守ることだけだ。


ふとぼんやりと視界がぼやけた。
私は慌てて目をこする。
いくらチャンスはまだあるとはいえ、こんな大事な瞬間を見逃すような間抜けなことをするつもりはない。
視界がクリアになった時、まだ対象はそこにそのままの姿勢で居た。
ただ変わったところが1つあることに私は気が付く。
対象の手の中には大きな一枚の鳥の羽があった…。

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