ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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全く寒くて嫌になるわね、ジーンよ。
背後は冬が好きらしいけど、あたしはやっぱり寒いのは勘弁して欲しいわ。
せめて火の付いた暖炉と暖かい毛布さえあれば、まだマシなのだけれどね。
さて、本当は書きたい話もあったのだけれど…実は背後が熱出して寝込んじゃったのよね。
熱は下がったみたいだけどまだ咳が止まらないみたいだから、ちょっとお蔵出しで対応しておこうかしら。
お題は「04 もしも主人公が違ったら」。
いよいよ「美人猫ジーンさんの冒険」開始ってところかしらね?
この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
今日は少し趣向を変えて、あたしの昔話でお送りするわね。
センと出会うよりももっと前。まだあたしが年若い美少女猫だった頃の話よ。
**********
「ジーン、ジーンってば。どこに居るんですのー」
ご主人様の呼ぶ声がどこからともなく聞こえる。
あたしは大きくため息をついて、がっくりと肩を落とした。
前に居た猫仲間が気遣わしげに見てくるのに、疲れた頷きを返す。
はぐれたのはご主人様の方の癖に、まるであたしが勝手に離れたみたいな反応を取ってくれるものだ。
いつもいつもそうだから、まったく手におえない。
「ジーンー、お部屋に戻りますわよー」
のんびりした声がやがて近づいてきた。
ある意味天才的に方向音痴で迷子癖があるご主人様にしては、まあまあの出来と言ったところだろう。
これ以上放っておいてまた全く見当違いの方向に行かれても面倒なので、あたしはひょいと塀の上から飛び降り、ご主人様の元へと歩いていった。
まったく、気苦労であたしの毛並みが悪くなったらどうしてくれるのよ。
あたしの名前は、ジーン。職業は使い魔を少々。
今のご主人様と出会ったのは1ヶ月前のことだ。
このたった1ヶ月で、よくもこう何回もはぐれてくれたものだと思う。
あたしはご主人様の腕の中で、ちらとその顔を見上げた。
水晶色の長い髪をふわりと背中に垂らし、柔らかな青い瞳をした少女。
それが今のあたしのご主人様だ。
いいところのお嬢さまみたいなのに、迷子になってしまって屋敷に辿り着けないでいるらしい。
…ご主人様ははぐれたのは執事の方だと言い張ってるけど、それも何だかあたしと同じ状態なんじゃないかって気がするのよね。
「あら?宿はこちらでよかったかしら?」
ほら、早速道に迷ってるし。
あたしはご主人様の腕の中からするりと飛び降り、先導するように前に立って歩き出した。
きょとんと首をかしげたご主人様だったけど、ぽんと手を打つとあたしの後をぱたぱたと付いてくる。
「案内してくれるのですわね、ジーン。よろしくお願いしますわ」
ご主人様のこの何の含みもない満面の笑みに、実はあたしは結構弱い。
あたしがしっかりしなきゃって気がしてくるのよね…。
まるでどっちが主だって感じだけど、まあ、そういう関係もありじゃないの?
「ジーン?どうかしたんですの?」
あたしはいつの間にか足を止めていたらしい。
ご主人様が屈みこんで、あたしの目を覗き込んでいた。
あたしはぷるぷると首を振ると、一声鳴いてみせる。
そして気を取り直して再び宿への道を辿り始めた。
**********
結局そのご主人様とは1年ほどの縁だったけれど、使い魔をしていた経験は今もしっかり生きてる。
センと契約をする気はまったくないけど(というかたぶんセンにもそういう気はなさそうよね)、まあちょっと手ぐらいは貸してあげようかなって思ってるわよ。
背後は冬が好きらしいけど、あたしはやっぱり寒いのは勘弁して欲しいわ。
せめて火の付いた暖炉と暖かい毛布さえあれば、まだマシなのだけれどね。
さて、本当は書きたい話もあったのだけれど…実は背後が熱出して寝込んじゃったのよね。
熱は下がったみたいだけどまだ咳が止まらないみたいだから、ちょっとお蔵出しで対応しておこうかしら。
お題は「04 もしも主人公が違ったら」。
いよいよ「美人猫ジーンさんの冒険」開始ってところかしらね?
この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
今日は少し趣向を変えて、あたしの昔話でお送りするわね。
センと出会うよりももっと前。まだあたしが年若い美少女猫だった頃の話よ。
**********
「ジーン、ジーンってば。どこに居るんですのー」
ご主人様の呼ぶ声がどこからともなく聞こえる。
あたしは大きくため息をついて、がっくりと肩を落とした。
前に居た猫仲間が気遣わしげに見てくるのに、疲れた頷きを返す。
はぐれたのはご主人様の方の癖に、まるであたしが勝手に離れたみたいな反応を取ってくれるものだ。
いつもいつもそうだから、まったく手におえない。
「ジーンー、お部屋に戻りますわよー」
のんびりした声がやがて近づいてきた。
ある意味天才的に方向音痴で迷子癖があるご主人様にしては、まあまあの出来と言ったところだろう。
これ以上放っておいてまた全く見当違いの方向に行かれても面倒なので、あたしはひょいと塀の上から飛び降り、ご主人様の元へと歩いていった。
まったく、気苦労であたしの毛並みが悪くなったらどうしてくれるのよ。
あたしの名前は、ジーン。職業は使い魔を少々。
今のご主人様と出会ったのは1ヶ月前のことだ。
このたった1ヶ月で、よくもこう何回もはぐれてくれたものだと思う。
あたしはご主人様の腕の中で、ちらとその顔を見上げた。
水晶色の長い髪をふわりと背中に垂らし、柔らかな青い瞳をした少女。
それが今のあたしのご主人様だ。
いいところのお嬢さまみたいなのに、迷子になってしまって屋敷に辿り着けないでいるらしい。
…ご主人様ははぐれたのは執事の方だと言い張ってるけど、それも何だかあたしと同じ状態なんじゃないかって気がするのよね。
「あら?宿はこちらでよかったかしら?」
ほら、早速道に迷ってるし。
あたしはご主人様の腕の中からするりと飛び降り、先導するように前に立って歩き出した。
きょとんと首をかしげたご主人様だったけど、ぽんと手を打つとあたしの後をぱたぱたと付いてくる。
「案内してくれるのですわね、ジーン。よろしくお願いしますわ」
ご主人様のこの何の含みもない満面の笑みに、実はあたしは結構弱い。
あたしがしっかりしなきゃって気がしてくるのよね…。
まるでどっちが主だって感じだけど、まあ、そういう関係もありじゃないの?
「ジーン?どうかしたんですの?」
あたしはいつの間にか足を止めていたらしい。
ご主人様が屈みこんで、あたしの目を覗き込んでいた。
あたしはぷるぷると首を振ると、一声鳴いてみせる。
そして気を取り直して再び宿への道を辿り始めた。
**********
結局そのご主人様とは1年ほどの縁だったけれど、使い魔をしていた経験は今もしっかり生きてる。
センと契約をする気はまったくないけど(というかたぶんセンにもそういう気はなさそうよね)、まあちょっと手ぐらいは貸してあげようかなって思ってるわよ。
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