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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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こんばんは、ジーンよ。
今日はアレよ、外せないお題行くべきでしょ。
「11 もしも女装(or男装)したら」…これはこのお題を選んだ上で欠かせない章よね。
もちろんこの次のお題にも心魅かれてるんだけどそっちもじっくり料理するとして、今日の話も出来ればしっかりと仕上げておきたいところねぇ。

いつもと同じく、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。

**********

それはちょうど夕暮れ時。
広場の噴水の水が茜色にキラキラと染まる時のことだった。
やや青みがかった銀色の髪を高く結い上げた一人の女性が、どこからか現れて噴水の前でつと立ち止まった。
身長は女性にしてはやや高めか。
だが薄いショールで覆われた肩はほっそりとして、どこか儚げな印象さえ与えている。
「……確かこの辺りの筈だが…」
飾り気のない言葉がその唇から零れた。
落ち着いた理知的なその声は低めではあったが、知的な印象の彼女によく合っていた。
彼女は何事か考えるように少し眉根を寄せる。
そして戯れにか唇を人差し指の腹で幾度か叩いた後、さりげなく視線を周囲に流した。
明るい紫の瞳がきらりと水の反射を受けて光る。
「…………」
しばらくそうした後、女性は明らかに落胆した様子でため息を落とす。
それは本当に落ち込んだ風で、帰り道を急ぐ人々の何人かは足を止め彼女にちらちらと目を向けた。
そのうちの一人がおずおずと女性に近づく。
「どうかなさったのですか?」
男は意を決したようにそう話しかけ、彼女の瞳をじっと見つめた。
女性の顔にやや戸惑いのような困惑のような色が浮かぶ。
「あ、いえ…。その、何でも……」
恥らうように俯いてしまった女性を安心させるように、男は視線を合わせるようにしてにっこりと笑って見せた。
そのついでのように女性の白い手を取る。
「よろしければ聞きますよ。何かお力になれるかもしれません」
「……いえ、その…大したことでは」
女性の眉がきゅっと不快そうに一瞬寄ったような気がしたが、気のせいだったのか。
彼女はさりげなく手を外し、その手をもう取られないようにか背中の方で両の手を組み合わせた。
しかしそれは、男にはやはり恥ずかしがっているように映る。
「大丈夫ですよ。私は怪しい者ではありません」
ただ困っている人を助けてあげたいだけですよ、と続ければ、女性はますます困ってしまったかのように斜め向こうに目を逸らした。
あまり身体の線が出ないように布を尽くされた服装は慎ましやかで、色白な肌と合わせるとどこかの令嬢かと思わせる。
放っておいてはどこかの悪い男に引っかかるかもしれない。
男はそう思って、さらに使命感のようなものを感じた。
手が取れなかったのでそっと肩を抱くと、彼女はビクンと肩を震わせる。
「ここでは何ですし、近くの店ででも話しませんか。知り合いの店なので、何も心配要りませんか…ら……っっ?!」
いきなりの衝撃に男は喉の奥で悲鳴を押し殺した。
男の靴の上にダンっと靴の踵をめり込ませた女性は、肩の手を払うとやや涙目でキッと睨みつけてくる。
「どう見たって怪しいのはお前だーっ!!」
彼女は思いっきりそう叫ぶと、くるっと身を翻してバタバタと駆けていった。
後には呆然とした男が残された。

**********

まあ、あえてこれ以上は、彼の名誉の為にもノーコメントにしておくわね。
タイトルから深読みしてくれると嬉しいわ。

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