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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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風が吹いていた。
里の入り口に居た忍びは、いつものように里へと侵入する唯一の道を眺めていた。
遥か彼方にきらりと光を反射するものを見つけ、目を眇める。
「からくり仕掛け……か?」
その高さ、2mはある。
それがこちらへと近づいてきていた。
「む……。風が強まる、か」
忍びは少し思案し、やがて身を翻す。
金色のそれ―――俗に言うロボットのようなものの正体を見極めるよりも、何故か身を隠した方がいいような気がした。
忍びが去った数分後に。
それは里の入り口へと到達した。

その鉢合わせはまったくの偶然だった。
いつもそこに佇む忍びに話をしにきた女性が、それと出くわした。
「何奴!?」
赤い着物を着た女性は、はっと表情を引き締めて誰何の声を投げかける。
「ガビィ=C=イース」
それはそう名乗った。
「戦いあるところに殺戮の機械あり。戦うというのなら参加させていただきます」
中華包丁が振り下ろされる。
「!」
女性はその黒い瞳に鋭い光をたたえ、その軌道から飛びのいた。
赤い着物に手をかけ、ばっと脱ぎ捨てる。
「私と戦う、というのですか?」
着物と同じ色の忍び装束を身に纏い、女性は赤い唇を綻ばせた。
戦いは嫌いじゃない。
そう、むしろ……。
「我が名は桔梗。お相手させていただきますわ、ガビィさま」
どこからともなく取り出されたクナイが風を裂く。
刃と刃が打ち合わされ、火花が散った。
飛び離れ、またその懐に飛び込む。
その度ごとにまるで舞いでも舞っているかのように、桔梗の長い黒髪が風に踊った。
「あなたはどちらの側に味方しに来たのかしら?
里長?それともセイン様? どちらに付くにしても貧乏くじよ」
桔梗は小さく微笑みを浮かべる。
「こんな里、滅びた方がいいわ。里も人も、ね」
「俺はどちらの側にも付かないですよ。強さを示す…それが存在意義ですかラ」
少しも攻撃の手は緩めることなく、持てる力のすべてをかけて討ちあいながら。

「まさしく戦いをしにきたのね、あなたは。その一番手になれるなんて光栄だわ」
桔梗は誇らしげに笑った。

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