ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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(森の側で)
金色の髪がさらさらと風に流れる。
ミレナはそれを押さえながら、ふぅっと息をついた。
「…ジェイクさんであろうと…セインさんであろうと……例えこの命尽きようとも……」
誰も聞くことのない、小さな呟き。
「必ず動けるまでに回復させるつもりです……」
目の前で倒れたままのジェイクは、まだ意識を取り戻さない。一番ではないが…とても大切な人だ。
静かに息を吐きながら、もう一度精神を集中してミレナはジェイクの上に手をかざした。
傷付いている人を少しでも癒したい。
それがミレナがこの里にやってきた理由だ。
セインの側、忍びの側。
どちらかに組するつもりはない。
どちらの人間も助けたい。
胸に光る十字架にそっと触れる。
「神は居ると信じてますよ…見守るだけしか出来ない…可哀想な神が居ると……」
自分の見ている中で。
たくさんの生き物が命を落としても、指一つ動かせない可哀想な神。
その代わりに……自分や他の僧侶達が人を癒す。
「……命をかける気でいないと私なんかでは…足りなそうですから……」
だから全神経を傾ける。
自分の力を過信して誰も助けられないなど、絶対にしたくないから。
とりあえず、今は目の前の彼を。
「…絶対に…死なせません……」
ミレナは静かに……だが、きっぱりと言った。
荒れ狂う風は、今だ止みそうになかった。
(広場の近くで)
「むー」
工房に報告に戻るという淳と別れ、先に行ったくうぱあと久遠を追ったパルクレチュアは。
目の前をすごい勢いで通り過ぎていった影に、目をぱちくりさせた。
見覚えのありすぎる大きな三毛猫、もとい……。
「ジキルさん?」
「にぁ〜〜〜!!」
必死の形相で爆走していくジキルと。
ウイング装着済みの機械兵。
「ガビィ先生まで? んむ〜」
パルクレチュアはぽむっと手を打つ。
「さては宴をするのですね〜。
うふふ〜、ルレットさんのお式のときに、セインさんおられませんでしたし〜。
ぜひ、食べさせてあげなきゃ、ですね〜」
ジキルでダシをとり、いつのまにやら味噌煮込み鍋のようになった猫鍋は、ルレットとゾファルの結婚式の時のオードブルだ。
お料理の先生であるガビィを手伝い、パルクレチュアが味付をして完成(?)した。
「とっておきのハーブがあるですよー」
パルクレチュアはにこにこと笑う。
お腹が空いてるとイライラして、笑顔も無くなってしまうから。
だから食べることは重要なのだ。
「あは〜、私もお手伝いします〜」
「に、にゃーーー!?」
里の中をひた走る3人(1人と1体と1匹?)の前には、突風ですら無力なのだった。
(セインの工房前で)
ウェーブのかかった銀色の長い髪が、風をはらんでたなびく。
ややつり目がちの猫のような瞳で、彼女は工房を
見上げた。
背中に背負ったクラシックギターが何故か不思議としっくりとはまっている。
「みんな居るかしら?」
ここに来るのは初めてだったが、里長とかいうおじさんにムカついたし、セインさんは友達だと思っていたので、自然とこうなった。
「仲間を助けるのは義務だけど、友ダチを助けるのは権利よね、多分」
薄い空色の瞳に真剣な色をたたえ、彼女は言う。
その後でハッと気が付いたように恥ずかしそうな顔をする。
「私ってばひとり言多いわね。やだな、これじゃ怪しい人物じゃない。
さっさと早くみんなに会った方がいいわね」
そう工房の扉に手をかけた時、それが勢いよく中から開いた。
「あ、やっほ〜。セインさんとか居る?」
「シャルロットさん?!」
中から出てきたジェラールが驚いた顔を見せる。
「どうしてここに……?」
「みんなで演奏会っていうのもいいかと思ったのよ。『ラテン幻想曲』っていうの。
合奏曲をアレンジしたもので、私がギターとハーモニカやるから、誰かマラカスとかカスタネットとかやってくれると嬉しいわ。無いといけないと思って、余興用の楽器もいっぱい持ってきたの」
彼女は持っていた大きなかばんを前に出す。
ジェラールがあっけに取られたように見ているのに、少し決まり悪そうに苦笑した。
「あっ、ごめんなさい。私ったらこれじゃ何も説明してないわよね。
セインさんは友ダチだから助けにきたの。桔梗さんの方が説得は楽そうだけど、その前に里長を説得した方が確率は高いわよね。みんなでいっぱい練習して、里長をあっと言わせましょうよ。『ラテン幻想曲』っていうのはね、まず情熱的なフラメンコがきて、それから」
「…とりあえず、中に入る? エルデ君やあぷりるさんたちもいるよ」
延々と続きそうな説明に苦笑して、ジェラールはシャルロットを工房の中に招き入れる。
主の居ない静かな工房の中。
奥からは何故かうめき声と心配そうな少女の声が聞こえていた。
金色の髪がさらさらと風に流れる。
ミレナはそれを押さえながら、ふぅっと息をついた。
「…ジェイクさんであろうと…セインさんであろうと……例えこの命尽きようとも……」
誰も聞くことのない、小さな呟き。
「必ず動けるまでに回復させるつもりです……」
目の前で倒れたままのジェイクは、まだ意識を取り戻さない。一番ではないが…とても大切な人だ。
静かに息を吐きながら、もう一度精神を集中してミレナはジェイクの上に手をかざした。
傷付いている人を少しでも癒したい。
それがミレナがこの里にやってきた理由だ。
セインの側、忍びの側。
どちらかに組するつもりはない。
どちらの人間も助けたい。
胸に光る十字架にそっと触れる。
「神は居ると信じてますよ…見守るだけしか出来ない…可哀想な神が居ると……」
自分の見ている中で。
たくさんの生き物が命を落としても、指一つ動かせない可哀想な神。
その代わりに……自分や他の僧侶達が人を癒す。
「……命をかける気でいないと私なんかでは…足りなそうですから……」
だから全神経を傾ける。
自分の力を過信して誰も助けられないなど、絶対にしたくないから。
とりあえず、今は目の前の彼を。
「…絶対に…死なせません……」
ミレナは静かに……だが、きっぱりと言った。
荒れ狂う風は、今だ止みそうになかった。
(広場の近くで)
「むー」
工房に報告に戻るという淳と別れ、先に行ったくうぱあと久遠を追ったパルクレチュアは。
目の前をすごい勢いで通り過ぎていった影に、目をぱちくりさせた。
見覚えのありすぎる大きな三毛猫、もとい……。
「ジキルさん?」
「にぁ〜〜〜!!」
必死の形相で爆走していくジキルと。
ウイング装着済みの機械兵。
「ガビィ先生まで? んむ〜」
パルクレチュアはぽむっと手を打つ。
「さては宴をするのですね〜。
うふふ〜、ルレットさんのお式のときに、セインさんおられませんでしたし〜。
ぜひ、食べさせてあげなきゃ、ですね〜」
ジキルでダシをとり、いつのまにやら味噌煮込み鍋のようになった猫鍋は、ルレットとゾファルの結婚式の時のオードブルだ。
お料理の先生であるガビィを手伝い、パルクレチュアが味付をして完成(?)した。
「とっておきのハーブがあるですよー」
パルクレチュアはにこにこと笑う。
お腹が空いてるとイライラして、笑顔も無くなってしまうから。
だから食べることは重要なのだ。
「あは〜、私もお手伝いします〜」
「に、にゃーーー!?」
里の中をひた走る3人(1人と1体と1匹?)の前には、突風ですら無力なのだった。
(セインの工房前で)
ウェーブのかかった銀色の長い髪が、風をはらんでたなびく。
ややつり目がちの猫のような瞳で、彼女は工房を
見上げた。
背中に背負ったクラシックギターが何故か不思議としっくりとはまっている。
「みんな居るかしら?」
ここに来るのは初めてだったが、里長とかいうおじさんにムカついたし、セインさんは友達だと思っていたので、自然とこうなった。
「仲間を助けるのは義務だけど、友ダチを助けるのは権利よね、多分」
薄い空色の瞳に真剣な色をたたえ、彼女は言う。
その後でハッと気が付いたように恥ずかしそうな顔をする。
「私ってばひとり言多いわね。やだな、これじゃ怪しい人物じゃない。
さっさと早くみんなに会った方がいいわね」
そう工房の扉に手をかけた時、それが勢いよく中から開いた。
「あ、やっほ〜。セインさんとか居る?」
「シャルロットさん?!」
中から出てきたジェラールが驚いた顔を見せる。
「どうしてここに……?」
「みんなで演奏会っていうのもいいかと思ったのよ。『ラテン幻想曲』っていうの。
合奏曲をアレンジしたもので、私がギターとハーモニカやるから、誰かマラカスとかカスタネットとかやってくれると嬉しいわ。無いといけないと思って、余興用の楽器もいっぱい持ってきたの」
彼女は持っていた大きなかばんを前に出す。
ジェラールがあっけに取られたように見ているのに、少し決まり悪そうに苦笑した。
「あっ、ごめんなさい。私ったらこれじゃ何も説明してないわよね。
セインさんは友ダチだから助けにきたの。桔梗さんの方が説得は楽そうだけど、その前に里長を説得した方が確率は高いわよね。みんなでいっぱい練習して、里長をあっと言わせましょうよ。『ラテン幻想曲』っていうのはね、まず情熱的なフラメンコがきて、それから」
「…とりあえず、中に入る? エルデ君やあぷりるさんたちもいるよ」
延々と続きそうな説明に苦笑して、ジェラールはシャルロットを工房の中に招き入れる。
主の居ない静かな工房の中。
奥からは何故かうめき声と心配そうな少女の声が聞こえていた。
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