ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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「エル、大丈夫…?」
アプリルが心配そうにその側に寄り添う。
「あ、あはは…、大丈夫だよ」
里にいる冒険者たちを探して工房を出た2人は、さっそく忍びたちに3度ほど襲われていた。
アプリルが後ろで魔法を唱える間、エルディスが前に出て彼女をかばうように剣を振るう。
さすが夫婦といった息の合った戦いぶりではあったが、やはり2人では多少息切れするのも無理はなかった。
特にアプリルが前線に立つことのないよう敵の刃を一手に引き受けるエルディスの負担は大きく、疲労の色が隠せなくなり始めていた。
「セティさん、どこまで行っちゃったのかな……」
もしも近くにいるなら早く合流したいとアプリルは思った。
「そうだな。セティさんも無事だといいんだけど…」
エルディスが心配そうに空を見上げる。
今にも一雨来そうなどんよりと曇った空。
イヤな風が吹いていた。
「セインさんも大丈夫かな…。ボク、心配だよ……」
エルディスはそんなアプリルに笑みを向けた。
「大丈夫だよ、セインさんなら。アプリルを泣かせることはきっとしないさ」
不安だけど。信じている。
セインさんはきっと生きていてくれる。
「エル……」
アプリルが少しだけ驚いた顔をして…すぐににこっと微笑んだ。
「…そうだよね。セインさんと約束したんだよ。もう絶対に1人でどこかに行ったりしないって」
その為にも今は。
1人でも多く、協力してくれる人間を探す。
そんな2人の前にまた、忍びたちが立ちはだかった。
今回は5人。少し多い。
「アプリル…、俺から離れるなよ」
緊張した面持ちで剣を構えるエルディスの背中を守るように、アミュレットを握りしめたアプリルが身を寄せた。
忍びたちが無言で剣を構える。
ピン…と張り詰めた空気が、解けるその瞬間。
数で優勢と見たか先手を取るつもりか、一斉に飛び掛ってきた忍びの1人を、紫の炎が包んだ。
「え……っ?」
驚いて見つめる2人の視線の先には、黒尽くめの服を着た灰色の目の男が立っていた。
「…暗黒大蛇薙」
男が言うと、手にした刀が暗紫色の炎に包まれる。
彼が刀を一閃すると、先ほど忍びの一人を戦闘不能に追いやった紫の炎がまた、別の忍びへと飛んだ。
「味方……?」
少しの間、あっけに取られていたアプリルが、すぐに魔法を唱え始める。
エルディスも巻き添えを食わぬように気をつけながら、別の忍びへと突撃した。
しばしその場に戦いの音が満ちる。
戦場となったそこを風が通り過ぎていくが、それはもう先ほどまで感じていたイヤな風ではないように思えた。
それはただの気のせいかもしれなかったが、それでも2人は勇気付けられたように感じたのだった。
アプリルが心配そうにその側に寄り添う。
「あ、あはは…、大丈夫だよ」
里にいる冒険者たちを探して工房を出た2人は、さっそく忍びたちに3度ほど襲われていた。
アプリルが後ろで魔法を唱える間、エルディスが前に出て彼女をかばうように剣を振るう。
さすが夫婦といった息の合った戦いぶりではあったが、やはり2人では多少息切れするのも無理はなかった。
特にアプリルが前線に立つことのないよう敵の刃を一手に引き受けるエルディスの負担は大きく、疲労の色が隠せなくなり始めていた。
「セティさん、どこまで行っちゃったのかな……」
もしも近くにいるなら早く合流したいとアプリルは思った。
「そうだな。セティさんも無事だといいんだけど…」
エルディスが心配そうに空を見上げる。
今にも一雨来そうなどんよりと曇った空。
イヤな風が吹いていた。
「セインさんも大丈夫かな…。ボク、心配だよ……」
エルディスはそんなアプリルに笑みを向けた。
「大丈夫だよ、セインさんなら。アプリルを泣かせることはきっとしないさ」
不安だけど。信じている。
セインさんはきっと生きていてくれる。
「エル……」
アプリルが少しだけ驚いた顔をして…すぐににこっと微笑んだ。
「…そうだよね。セインさんと約束したんだよ。もう絶対に1人でどこかに行ったりしないって」
その為にも今は。
1人でも多く、協力してくれる人間を探す。
そんな2人の前にまた、忍びたちが立ちはだかった。
今回は5人。少し多い。
「アプリル…、俺から離れるなよ」
緊張した面持ちで剣を構えるエルディスの背中を守るように、アミュレットを握りしめたアプリルが身を寄せた。
忍びたちが無言で剣を構える。
ピン…と張り詰めた空気が、解けるその瞬間。
数で優勢と見たか先手を取るつもりか、一斉に飛び掛ってきた忍びの1人を、紫の炎が包んだ。
「え……っ?」
驚いて見つめる2人の視線の先には、黒尽くめの服を着た灰色の目の男が立っていた。
「…暗黒大蛇薙」
男が言うと、手にした刀が暗紫色の炎に包まれる。
彼が刀を一閃すると、先ほど忍びの一人を戦闘不能に追いやった紫の炎がまた、別の忍びへと飛んだ。
「味方……?」
少しの間、あっけに取られていたアプリルが、すぐに魔法を唱え始める。
エルディスも巻き添えを食わぬように気をつけながら、別の忍びへと突撃した。
しばしその場に戦いの音が満ちる。
戦場となったそこを風が通り過ぎていくが、それはもう先ほどまで感じていたイヤな風ではないように思えた。
それはただの気のせいかもしれなかったが、それでも2人は勇気付けられたように感じたのだった。
エキストラ登場…サード=ニックスさんでした。
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