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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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「幼馴染の腐れ縁、地獄の果てまで付きおうたる…か」
風夏は顔をしかめた。

柄にもなく、秋だし本でも読もうと思った。
それで家から持ってきた数少ないうちの1冊を開いたところだった。

「よう言うわ。今、おらへんクセに」
本に挟まっていた写真を指で弾く。
神社の鳥居の前で少し意地の悪い笑顔を見せている、1人の青年がそこには映っていた。
彼の着ている制服は風夏には馴染みが深いものだ。
この学園に転入する前に、彼女が居たところだから。
「那智も言うとったで。竜司は嘘つきやってな」
仕方ないなと苦笑しながらそう言ったもう一人の幼馴染の、本当の言葉の意味を風夏は知らない。
那智と風夏と竜司、途中で転校の多い風夏が2年ほど抜けることはあったが、生まれたときからずっと3人一緒だった。
そうであることが当たり前のように、そこに居たのだ。

「勘違いせんとってや? 別にあんたなんかおらんでも、ぜんっぜん構わへんねんけど!」
風夏は写真に向かって力説した。
「けど…!」
それを本の間から取り上げる。
ふざけたようでいて、こちらをじっと見据えてくる黒い目。
時折その目が放つ色にドキリとさせられるのだ。
無意識に写真を額に押し当て…ようとして、風夏ははっと我に返った。
「ち、ちょっとこう物足りへんだけや。それだけや」
慌ててそれを後ろの方のページに挟み直す。
ここに居ないヤツに自分の気持ちが惑わされるのは面白くない。
「読書なんて、やっぱりうちには似あわへんわ。やめやめ!」
風夏は本を少し乱暴に本棚に戻すと、気晴らしをするように部屋を出て行った。

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