ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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………
「那智ってホンマ、意地悪いわー」
風夏は叫んで、ばたっと机に倒れ伏した。
風夏の前の席に座る、長い三つ編みを背中にたらした少女が不思議そうに首をかしげる。
「私は本当の事を言っているだけだが」
深い青の目には何の感情の揺らぎもない。
神円那智。風夏のもう一人の幼馴染である。
「そういうとこが意地悪いっちゅうねん!
だいたい那智はなー、こう人間の機微ゆうのに乏しいわっ。
もうちょっと気ぃ使うてくれても、バチは当たらへんで〜!」
風夏はがばっと身を起こすと、目の前の幼馴染の少女に向かって、まくしたてた。
午前中の授業が終わり、時は昼休み。
周囲も思い思いの話で盛り上がっていて、特に風夏が叫んでも注目を浴びたりすることはない。
もっともこのクラスの生徒はみんなそれに慣れていたので、たとえ周りが騒がしくなかったとしても別に注目はしなかったかもしれない。
「では違うのか?」
那智が少しだけきょとんとした顔で、風夏の顔を覗き込んだ。
怒りかもどかしさか、それとも羞恥にか風夏の頬がさっと赤くなる。
「違うわーっ!! ウチは別にあいつのコトなんか好きちゃうし、付きおうてもおらへんわー!」
神円那智。彼女は一風変わった少女だった。
全体的に小作りな顔に透き通った青い瞳、しなやかな長い髪。
容姿的には一昔前の清純派美少女といった趣である。
しかし、口調はあくまで素っ気無く、ドライでさばけた性格をしており、一匹狼であるのを好むようなところがあった。
機敏な身のこなしは何か武術の心得があることを示していたし、時折何もないところに何かが見えるかのような挙動をする。
風夏は幼馴染だからこそ知っていた。
彼女は風が見えるのだ。風を道具を使うように扱うことが出来るのだ。
「…まったく、どっからそんな話聞き込んできたんや…」
風夏はまだかすかに染まった頬を持て余すように、ぶつぶつと呟いた。
那智がすうっと宙を指差す。
もちろん風夏にはそこに何も見えない…が言いたいことは分かった。
「…これがホンマの風の噂、っちゅーやつやな…」
再びばたっと机に伏せ、風夏は乾いた笑いを漏らした。
何で風がそんな世間話しとるねん。
ちゅーか、うちと竜司って風にもそんな関係に見られとるんか。
心の中でツッコミを入れながら、頬を机に摺り寄せる。
感じる木の冷たさが何となく心地良かった。
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「那智ってホンマ、意地悪いわー」
風夏は叫んで、ばたっと机に倒れ伏した。
風夏の前の席に座る、長い三つ編みを背中にたらした少女が不思議そうに首をかしげる。
「私は本当の事を言っているだけだが」
深い青の目には何の感情の揺らぎもない。
神円那智。風夏のもう一人の幼馴染である。
「そういうとこが意地悪いっちゅうねん!
だいたい那智はなー、こう人間の機微ゆうのに乏しいわっ。
もうちょっと気ぃ使うてくれても、バチは当たらへんで〜!」
風夏はがばっと身を起こすと、目の前の幼馴染の少女に向かって、まくしたてた。
午前中の授業が終わり、時は昼休み。
周囲も思い思いの話で盛り上がっていて、特に風夏が叫んでも注目を浴びたりすることはない。
もっともこのクラスの生徒はみんなそれに慣れていたので、たとえ周りが騒がしくなかったとしても別に注目はしなかったかもしれない。
「では違うのか?」
那智が少しだけきょとんとした顔で、風夏の顔を覗き込んだ。
怒りかもどかしさか、それとも羞恥にか風夏の頬がさっと赤くなる。
「違うわーっ!! ウチは別にあいつのコトなんか好きちゃうし、付きおうてもおらへんわー!」
神円那智。彼女は一風変わった少女だった。
全体的に小作りな顔に透き通った青い瞳、しなやかな長い髪。
容姿的には一昔前の清純派美少女といった趣である。
しかし、口調はあくまで素っ気無く、ドライでさばけた性格をしており、一匹狼であるのを好むようなところがあった。
機敏な身のこなしは何か武術の心得があることを示していたし、時折何もないところに何かが見えるかのような挙動をする。
風夏は幼馴染だからこそ知っていた。
彼女は風が見えるのだ。風を道具を使うように扱うことが出来るのだ。
「…まったく、どっからそんな話聞き込んできたんや…」
風夏はまだかすかに染まった頬を持て余すように、ぶつぶつと呟いた。
那智がすうっと宙を指差す。
もちろん風夏にはそこに何も見えない…が言いたいことは分かった。
「…これがホンマの風の噂、っちゅーやつやな…」
再びばたっと机に伏せ、風夏は乾いた笑いを漏らした。
何で風がそんな世間話しとるねん。
ちゅーか、うちと竜司って風にもそんな関係に見られとるんか。
心の中でツッコミを入れながら、頬を机に摺り寄せる。
感じる木の冷たさが何となく心地良かった。
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