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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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「もう、サイアクやー!びたびたやんかー…」
風夏は頬に張り付いた髪を払いながら、不快そうに顔をしかめた。
急な雨に降られて、とりあえず自転車置き場の雨よけの下に駆け込んだところだった。
制服も張り付くようで気持ち悪いし、靴も中に水が入ってガポガポ音がする。
「今日は雨なんて言うてなかったで!天気予報のアホー!!」
降りしきる雨に向かって、風夏は腹いせに吼えた。
いつも高いところで結い上げているポニーテールが、雨を含んでずっしりと重い。
髪の先からぽたぽたと雫が落ち、コンクリートの床に跡を作った。
くんっと後ろに頭が引っ張られているような気がして、しぶしぶと髪を束ねているゴムを解く。
いつもならすぐにふわっと広がる髪も絡まったままで、仕方なく手グシで梳かし何とか落ちつける。
「ちょっとでも小降りにならへんかな」
風夏は恨めしげに雨を見つめた。
もうずぶ濡れなので今さら雨に濡れたくないというわけでもないが、土砂降りの中を突っ切ってくのは何となくイヤだった。
じとっと髪の毛が服に馴染むような感じが不快で、風夏は一度髪を絞るようにして水を落とすと、頭をぶんぶんと大きく振る。
小さな水しぶきが周囲を舞った。
搾ったかいあってか、少しは髪が風を纏う。
それに少しだけ気をよくして、風夏は制服の裾もぎゅっと絞った。
ぼたぼたぼた…。
大きな水滴が、風夏の足元のコンクリートを濃いねずみ色に染めていく。
「風邪引いたらどうしてくれるねん。天気予報の兄ちゃんに代わりに戦うてもらうで?」
微妙に逆恨みというか八つ当たりしながら、風夏は足元に出来た水溜りを蹴った。
ぱしゃっと水が跳ねる。
と同時に靴の中で足が滑る感じに、風夏は顔をしかめた。
「靴は絞るわけにはいかへんしなぁ…」
ちっとも止む様子を見せない雨に、再びイライラが募る。
「しゃーない!走って帰って、シャワーでも浴びておやつ食べてリフレッシュや!」
風夏は自分に言い聞かせるように口にすると、一息深呼吸して雨の中に飛び出した。
足元でばしゃばしゃと水が大きく跳ねる。
せっかく絞った髪が、また首筋や頬に張り付いた。
が、雨の中では絞っても無駄なので気持ち悪くても無視する。
「雨のっ…アホーッ!!」
代わりによく通る声が、雨の中へと消えていった…。

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