ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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時間なんてあっという間に過ぎるわね。
もうすぐお昼の時間なのに食べ物が見つからなくて、お腹がくうくう鳴いているジーンよ。
お腹が空くとこう、何だか切なくなるわよね…。
さて、今日もお題行っちゃいましょうか。
これを片付けないと先に進めない気がするのよ…(笑)。
だから今日は「10 もしもあの人とあの人が茶飲み友達なら」をお送りするわね。
難産の回になりそうね…。
茶飲み友達…センだとあまり考えられないのよね。
何だか友達少なそうだし。
いつもと同じく、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
**********
風にからからと看板が揺れる。
酒場の店主はそれを窓の外に見ながら、手持ち無沙汰にグラスを磨いていた。
もう季節は春だというのに、時々急に冷え込んで春の日差しに緩み始めた人々の足を遠のかせる。
せめて今年の夏は冷夏などということになって、客足が散々なことにならないよう祈ることしか出来ない。
そろそろかき入れ時だというのにただ一人旅人らしき女性が食事を取っている以外は誰も居ない店内に目を移し、店主は抑えきれないため息を零した。
今日もまたほとんど客が来ないまま、店を閉めることになりそうだ。
それを考えると女性が帰った時点で早々に店じまいしたいような気にもなるのだった。
扉が音を立てて外から開けられると同時に、店内にひゅうっと風が吹き抜ける。
「いらっしゃい」
まさか2人目の客が現れるとは思わなかった店主は、現れた人物に声と興味津々の目を向けた。
この季節にはやや不釣合いな黒い外套を纏った男は一瞬店内を見渡し、その後カウンター席へと腰を下ろす。
すでに店内に居た女性と同じく初顔だった。おそらくこちらも旅人だろう。
「何にするね?」
グラスを磨いていた手を止め、男の前へと移動する。
それに対し店主を一瞥し男はひと時考えるように眉根を寄せたが、すぐに酒の名前を告げると興味を別に移した。
足元に置いた自分の荷物を漁り、一冊の本を取り出すとそれを読みふけり始める。
それが話しかけられたくないと言う意思表示だと取って、店主は苦笑しながら酒の用意をしてそっと男の前にそのグラスを置いた。
見た目どおりと言おうか無愛想な男のようだ。
手を拭きながらカウンターを出て、テーブル席に座っている女性の方へ向かう。
「もう注文はいいのかね?よければ酒か何か見繕おうか?」
「えっ、あぅ…ええと」
小柄な女性を怖がらせないように静かに声をかけたつもりだったが、女性はあたふたと慌てた様子で立ち上がった。
入ってきたときからこの調子だったから、店主は再び苦笑を滲ませる。
女性が子供のような顔をしていることもあって、まるで自分が苛めているような気になるのはなんとかならないものか。
「えっと、あの…あの…っ、い、いただきます……」
顔を真っ赤にしながら何とかそれだけ答えてきた女性は、酒を見繕おうとカウンターへと戻る店主へとついてカウンター席へと移ってきた。
すでにそこに居た男と2,3席置いて離れて座るのは、やはり異性の側に座るのに躊躇いがあるからか。
「軽い甘めの酒にしておこうか。兄さんもお代わりいるかね?」
すでにグラスを空にしていた男の方へも声をかける。
本からちらりと顔を上げた男は首肯し、グラスを店主の方へと寄せた。
「…貰おう」
男は十分にいける口なのか、短時間で飲み干したにしてはまったく顔色も変わっていない。
澄ましたその顔を焦らせたいようなやや意地悪い気持ちになって、店主はアルコール度の高い酒を見繕った。
だいたい新顔はその酒場なりの洗礼を受けるものだ。特にこんな日は多少の娯楽を求めなければ、荒事も多い酒場の店主などやってられるものか。
ちびちびとお酒のグラスに口をつける女性とは対照的に、男は出したグラスをぐいっと煽る。
涼しい色を灯していた目がきらりと光った。面白いと言うように口元に笑みを刷く。
「もう一杯同じものを貰えるか」
男は空になったグラスを再び前に差し出して見せた。
それに対し、店主もニヤリと笑みを零す。
「兄さん、だいぶいける口のようだな…。そうでなくちゃ面白くないってもんだ」
そのやりとりに女性がきょとんとした顔を向けているのを感じながら、店主はグラスを再度満たした。
見た目からすかした学者気取りか何かかと思ったが、なかなかどうして。こういう仕事柄、酒が好きな相手は嫌いではない。
「兄さんもお嬢ちゃんも旅人のようだが、しばらくこの町に滞在するのかね?」
ある程度酒が進んでいつしか店主も杯を重ねて、滑らかになった口が話を弾ませる。
それは、見た目は酒場に入ってきたときと全く変わらないように見える男も同じようだった。
「俺は情報を集める間ぐらいか…。そう長居はするつもりはないがな」
飾らない口調ながら、男は素直にその問いにそう答えてくる。
対して自分のペースで飲んでいた女性は、二杯ほどの酒でほとんど酔い潰れ寸前のようだった。
「ふにゅー…。わたしは、まだ決めてませんー…」
舌ったらずの声を出しながらカウンターに寄りかかって居るのを見、店主はやはりまだジュース等の方が良い年かと苦笑いを浮かべた。
まあ、泣き出したり暴れられたりするよりは、明るく酔ってくれた方がいいのだが。
「両親をさがしてて、このまちに居ればいいんです、けど」
コクンと首を傾げるのに合わせて、肩口の羽飾りがひらりと揺れる。
見た目に寄らずこの女性も苦労しているようだ。
それを聞いて男の眉根が一瞬何か言いたそうにきゅっと寄ったが、特にその話題に触れるつもりはないようで男はまたグラスを煽った。
ペースがやや早く思えるが、一杯目からこの調子だったので店主は何も言わずに新しい酒を注ぐ。
「俺はある女を探している。……この辺には居ないようだがな」
「2人とも探し人とは思わぬ偶然だな。案外同じ人物だったりし」
笑いながら冗談を口にしようとして、男から浴びせられた鋭い視線に店主の口が凍った。
どうやら何か禁句だったようだ。そう理解し、慌てて話題を変える様に努める。
「…情報ならそこの通りを入ったところにある冒険者の店がいいと思うぞ。あそこはこの近辺を根城としている冒険者がよく出入りしてるからな」
男は何も言わず、注がれた酒を再び干した。
代わりに女性の方がふにゃと笑ってお礼の言葉を告げる。
「あとで、いってみますー。ありがとうござい、ま」
それだけ言うとすぐにぱたりとカウンターに突っ伏した女性に少しだけ慌てたが、すぐに小さな寝息が聞こえ始めて、店主は差し出しかけた手を止め頭を掻いた。
「ありゃ潰れちまったか。弱ったな…」
「寝かせておけばそのうち起きるだろう。まあ、それまで酒盛りぐらいなら付き合う」
男もちらりと女性に目を注いだが、すぐに飲み足りない様子でグラスを滑らせてくる。
それもまた一興か。
店主は苦笑いを零しながら、男と自分のグラスに新たに酒を注いだ。
結局朝までその酒盛りは終わることがなかった。
**********
ええと、これは酒飲み…?少なくとも茶飲み友達じゃないわよね。
お題からすごく外れてる気がするのは気のせいかしら?
もうすぐお昼の時間なのに食べ物が見つからなくて、お腹がくうくう鳴いているジーンよ。
お腹が空くとこう、何だか切なくなるわよね…。
さて、今日もお題行っちゃいましょうか。
これを片付けないと先に進めない気がするのよ…(笑)。
だから今日は「10 もしもあの人とあの人が茶飲み友達なら」をお送りするわね。
難産の回になりそうね…。
茶飲み友達…センだとあまり考えられないのよね。
何だか友達少なそうだし。
いつもと同じく、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
**********
風にからからと看板が揺れる。
酒場の店主はそれを窓の外に見ながら、手持ち無沙汰にグラスを磨いていた。
もう季節は春だというのに、時々急に冷え込んで春の日差しに緩み始めた人々の足を遠のかせる。
せめて今年の夏は冷夏などということになって、客足が散々なことにならないよう祈ることしか出来ない。
そろそろかき入れ時だというのにただ一人旅人らしき女性が食事を取っている以外は誰も居ない店内に目を移し、店主は抑えきれないため息を零した。
今日もまたほとんど客が来ないまま、店を閉めることになりそうだ。
それを考えると女性が帰った時点で早々に店じまいしたいような気にもなるのだった。
扉が音を立てて外から開けられると同時に、店内にひゅうっと風が吹き抜ける。
「いらっしゃい」
まさか2人目の客が現れるとは思わなかった店主は、現れた人物に声と興味津々の目を向けた。
この季節にはやや不釣合いな黒い外套を纏った男は一瞬店内を見渡し、その後カウンター席へと腰を下ろす。
すでに店内に居た女性と同じく初顔だった。おそらくこちらも旅人だろう。
「何にするね?」
グラスを磨いていた手を止め、男の前へと移動する。
それに対し店主を一瞥し男はひと時考えるように眉根を寄せたが、すぐに酒の名前を告げると興味を別に移した。
足元に置いた自分の荷物を漁り、一冊の本を取り出すとそれを読みふけり始める。
それが話しかけられたくないと言う意思表示だと取って、店主は苦笑しながら酒の用意をしてそっと男の前にそのグラスを置いた。
見た目どおりと言おうか無愛想な男のようだ。
手を拭きながらカウンターを出て、テーブル席に座っている女性の方へ向かう。
「もう注文はいいのかね?よければ酒か何か見繕おうか?」
「えっ、あぅ…ええと」
小柄な女性を怖がらせないように静かに声をかけたつもりだったが、女性はあたふたと慌てた様子で立ち上がった。
入ってきたときからこの調子だったから、店主は再び苦笑を滲ませる。
女性が子供のような顔をしていることもあって、まるで自分が苛めているような気になるのはなんとかならないものか。
「えっと、あの…あの…っ、い、いただきます……」
顔を真っ赤にしながら何とかそれだけ答えてきた女性は、酒を見繕おうとカウンターへと戻る店主へとついてカウンター席へと移ってきた。
すでにそこに居た男と2,3席置いて離れて座るのは、やはり異性の側に座るのに躊躇いがあるからか。
「軽い甘めの酒にしておこうか。兄さんもお代わりいるかね?」
すでにグラスを空にしていた男の方へも声をかける。
本からちらりと顔を上げた男は首肯し、グラスを店主の方へと寄せた。
「…貰おう」
男は十分にいける口なのか、短時間で飲み干したにしてはまったく顔色も変わっていない。
澄ましたその顔を焦らせたいようなやや意地悪い気持ちになって、店主はアルコール度の高い酒を見繕った。
だいたい新顔はその酒場なりの洗礼を受けるものだ。特にこんな日は多少の娯楽を求めなければ、荒事も多い酒場の店主などやってられるものか。
ちびちびとお酒のグラスに口をつける女性とは対照的に、男は出したグラスをぐいっと煽る。
涼しい色を灯していた目がきらりと光った。面白いと言うように口元に笑みを刷く。
「もう一杯同じものを貰えるか」
男は空になったグラスを再び前に差し出して見せた。
それに対し、店主もニヤリと笑みを零す。
「兄さん、だいぶいける口のようだな…。そうでなくちゃ面白くないってもんだ」
そのやりとりに女性がきょとんとした顔を向けているのを感じながら、店主はグラスを再度満たした。
見た目からすかした学者気取りか何かかと思ったが、なかなかどうして。こういう仕事柄、酒が好きな相手は嫌いではない。
「兄さんもお嬢ちゃんも旅人のようだが、しばらくこの町に滞在するのかね?」
ある程度酒が進んでいつしか店主も杯を重ねて、滑らかになった口が話を弾ませる。
それは、見た目は酒場に入ってきたときと全く変わらないように見える男も同じようだった。
「俺は情報を集める間ぐらいか…。そう長居はするつもりはないがな」
飾らない口調ながら、男は素直にその問いにそう答えてくる。
対して自分のペースで飲んでいた女性は、二杯ほどの酒でほとんど酔い潰れ寸前のようだった。
「ふにゅー…。わたしは、まだ決めてませんー…」
舌ったらずの声を出しながらカウンターに寄りかかって居るのを見、店主はやはりまだジュース等の方が良い年かと苦笑いを浮かべた。
まあ、泣き出したり暴れられたりするよりは、明るく酔ってくれた方がいいのだが。
「両親をさがしてて、このまちに居ればいいんです、けど」
コクンと首を傾げるのに合わせて、肩口の羽飾りがひらりと揺れる。
見た目に寄らずこの女性も苦労しているようだ。
それを聞いて男の眉根が一瞬何か言いたそうにきゅっと寄ったが、特にその話題に触れるつもりはないようで男はまたグラスを煽った。
ペースがやや早く思えるが、一杯目からこの調子だったので店主は何も言わずに新しい酒を注ぐ。
「俺はある女を探している。……この辺には居ないようだがな」
「2人とも探し人とは思わぬ偶然だな。案外同じ人物だったりし」
笑いながら冗談を口にしようとして、男から浴びせられた鋭い視線に店主の口が凍った。
どうやら何か禁句だったようだ。そう理解し、慌てて話題を変える様に努める。
「…情報ならそこの通りを入ったところにある冒険者の店がいいと思うぞ。あそこはこの近辺を根城としている冒険者がよく出入りしてるからな」
男は何も言わず、注がれた酒を再び干した。
代わりに女性の方がふにゃと笑ってお礼の言葉を告げる。
「あとで、いってみますー。ありがとうござい、ま」
それだけ言うとすぐにぱたりとカウンターに突っ伏した女性に少しだけ慌てたが、すぐに小さな寝息が聞こえ始めて、店主は差し出しかけた手を止め頭を掻いた。
「ありゃ潰れちまったか。弱ったな…」
「寝かせておけばそのうち起きるだろう。まあ、それまで酒盛りぐらいなら付き合う」
男もちらりと女性に目を注いだが、すぐに飲み足りない様子でグラスを滑らせてくる。
それもまた一興か。
店主は苦笑いを零しながら、男と自分のグラスに新たに酒を注いだ。
結局朝までその酒盛りは終わることがなかった。
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ええと、これは酒飲み…?少なくとも茶飲み友達じゃないわよね。
お題からすごく外れてる気がするのは気のせいかしら?
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