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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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さて、お題の08話は前回でようやく一区切りというところね。
ジーンよ。
大体あたしの活躍がないから、過去話はあまり好きじゃないのよね。
というわけで、後はどこかのブログででもやってもらうとして、さくさくお題を先に進めましょ。

今日のお題は「09 もしもお酒を飲んでみたら」。
…うーん、何だかトラブルの匂いがするわね。
いつも通り、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわよ。

**********

「ああ、それでこっちへ来ているのか」
柔らかい声がやや笑みを含む。いつもは静かで落ち着いているとぐらいしか感じなかったその声に、何だかドキリとするのを感じてあたしは不機嫌になった。
常々自分は酒に酔わないと自負しているセンだけど、やっぱり深酒が過ぎると何か箍が外れるのか、普段はあんまり見ない顔とか会話とかしてるのを見る。そういうところを見ると、普段のセンって実はかなり無理してるんじゃないかって思っちゃったりもするのよね。
「え、俺か?俺も似たようなもんだな…」
デフォルトなんじゃって思ってた眉間のシワとかどこへやら。ふんわり微笑を浮かべて相手の話に相槌を打っている様子は、まるで別人のようだ。
たまたまこの酒場で隣り合わせになっただけの相手だが、気が合ったのか話はだいぶ弾んでいるようだった。まあ、悪い人間にも見えないし、楽しく飲んでるならそれはそれで構わないんだけど、あたしが仲間外れになってるようでちょっと複雑なものを覚える。叩き出されなかっただけマシだけど、さすがに猫にはお酒なんて出してくれないものね。
「はは、まあ確かに一人だと気楽だが大変なこともあるぞ」
一人…か。あたしは、はふと小さく息を零した。まあ、分かってたことだけど、あたしは数に入れてくれないわけね。何だかちょっといじけたくなって、目の前にあったセンのバックパックの中に足を突っ込み、もぞもぞと中へと潜り込んだ。ハードカバーの本の角が脇に当たって少し痛い。…まったく本を持ち歩くのやめてほしいわ。
「今はメインで召喚術も使うし、おまけも居るから厳密には一人というわけでもないけどな…」
荷物の布越しに、ぼんやりとセンの言葉が続くのが聞こえる。それに相手が一言二言言葉を返しているのも感じながら、あたしは荷物の中で丸くなった。ん…あったかいせいか何だか眠くなってきたわね。くあーっと欠伸をし、とろんと目を閉じる。
「それが妙に人間くさい猫なんだ。こっちの言うこととか理解してる感じだし、しょっちゅう体当たりとかしてくるし……」
寝かけてた意識がぱっと覚醒した。あたしは鼻の頭にシワを寄せる。ちょっと待って?おまけとか…それってあたしのこと?入ってきたときとは逆の動作で、あたしはもぞもぞと荷物から出た。目を細めて下からセンを見上げてみるけど、気づく様子はない。ふうん、そういうつもりなのね。
あたしはすでに別の話に移っているセンから、じりじりと距離を置いた。ぐぐっと床についた前足に力をこめる。距離OK、準備もOK!あたしはセンの頭めがけて思いっきり跳躍した。気配に気づいたのかセンが振りかえろうとしていたけどもう遅い。ちょっとでもドキリとしたのなんて単なる気の迷いか、盛大な勘違い。あたしはそう結論付けると、カウンターに突っ伏した酔っ払いの横で悠々と顔を洗った。

**********

これで112戦108勝ってところかしらね?
センなんてちょろいわ。
あたしをおまけ扱いするなんて、一千万年早いのよ。

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