ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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最近、少し暖かくなってきたわね。
春が近づいてきてるのかしら?ジーンよ。
今日は何ていうか、あたしの立場の危機ってやつ?
え?何のことか分からないって?
…きっと見てもらえれば分かると思うわ…。
お題は「08 もしも学園物(orRPG)だったら」。
いつもと同じく、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
**********
それは今よりも30数年ほど前のこと。
センはそれなりに大きな街の、それなりに大きな聖堂の前に立っていた。
権威の象徴のように無駄に金色に塗り上げられたその建物は、何故か見ていて逆に哀れに感じてしまう。
「……まあ、俺が神とか何とかを信じてないせいかもしれないがな」
センの口から零れたその言葉を聞き咎めるものは、幸いにして今はまだ近くに居なかったようだった。
これからその大聖堂に乗り込もうというのに、中に居る人間をどこまでも刺激しそうな思考から抜け出せない自分に思わず苦笑が浮かぶ。
だが神を信じられないのはそれこそ昔からだったし、神官という人種を胡散臭く感じてしまうのもこれまた同じだった。
聖堂の入り口を潜ると、広いホールへと出る。
まず目に付いたのは、大きな柱とおそらく誰か聖人と呼ばれる人を模ったのであろう石膏像、天井に近いところに刻まれている昔語りのような壁画だった。
外側はやや醜悪にも感じたものだったが、中はさすがに聖堂らしい厳粛な空気が漂っているように思える。
「何か御用ですか?ここは神に仕えるものしか入れぬ聖域ゆえ、これ以上の進入はご遠慮いただきたいのですが」
いつからそこに居たのだろうか。
柱の影から姿を見せた神官の言葉に、センは眉根を寄せた。
やはり聞いた通り、この大聖堂の内に入るのは容易ではなさそうだ。
ふう、と抑えきれずに息を一つ吐くと、その場に膝を折り頭を垂れる。
「ああ…いえ、アルノー司祭にお取次ぎいただきたく……」
情報によればアルノーという名のまだ若いらしいその男は、この大聖堂にいる司祭や助祭たちの中で唯一、市井のことにも力を割いてくれる司祭だという。
逆に言えば他の司祭たちは神官以外の街の人間のこと等、ゴミかその辺に咲く野花の様にしか考えていないのかもしれない。
神官はセンに対してか名前を出した司祭に対してかやや嫌悪するように眉を寄せたが、ふいっと身を翻した。
「こちらに来なさい。勝手に周囲をうろつかれては迷惑です」
先程までは何の感情も含んでいなかった丁寧な言葉が明らかに棘を含む。
そのことにセンは思わず苦笑を零した。
小さな部屋に通されそこで待つように告げて、神官はアルノー司祭を呼びに行ったのか姿を消した。
この隙に聖堂の奥へ向かってもいい様に思えたが、人に見つかるかすると色々と厄介なことになる。
「それに、どうせ易々と入れるようなところには置いてないだろうしな…」
ぼそり、と呟くとその言葉に静かな声が重なった。
「何かお探しですか?」
センはギクリとして振り返る。
いつの間にそこにやってきたのか、眼鏡をかけた背の高い神官が1人面白そうにこちらを見ていた。
「……お前がアルノーか」
何となく推察して問えば、相手はにっこりと笑って首肯する。
やりにくい相手だ、とセンは感じた。
こういう何事にも流れる水のように対応する相手には、今まで苦い思い出しかない。
「探していると言うなら、しばらくの職と寝床だろうな…。そこで街でも有名なアルノー司祭に頼みごとがあるんだが…聞いてくれるか」
探りを入れるように相手の顔を観察しながらセンが続ければ、アルノー司祭は部屋にある椅子を勧め、自らも相対する椅子に腰を下ろした。
「性急な方ですね…。お話があるならば伺いましょう。私でお役に立てることがあるのでしたら」
その優しい柔らかな笑顔を何故か正面からは見られない気がして、センは僅かに目線を外す。
そうした後で、これでは何か後ろめたいことがあると白状しているようなものだと気づいて、胸の内で小さく舌打ちした。
それと気取られないように勧められた椅子に座り、間に挟んだ卓に腕をついて司祭と目を合わす。
「アルノー司祭は高潔な方で、色々と街の中のトラブルを解決しようと尽力していると聞いた。それならば物騒な事態にもなることもあるだろう…。どこかで要らぬ恨みを買っているかもしれないしな」
センは慎重に言葉を選びながら司祭の反応を少しだけ待った。
先程の反応と聞いた噂を重ね合わせれば、このアルノーという司祭なかなか敏い人物のようだ。
ひょっとしたら自分の目的すら何となく読まれているかもしれない…そう思えば、尚更下手な運びは出来ない。
アルノー司祭は小さくクスリ、と笑みを零す。
そしてセンの視線をやんわりと遮るように立ち上がり、棚の上にあった水差しを手に取った。
「そうですね。現にこの聖堂の中にさえ、私のことを快く思わぬ者はいるようですし」
グラスに水を注いで1つをセンに差し出し、もう1つを自分の前に置く。
「とりあえずお水でもいかがですか?喉が渇かれているでしょう」
「……用心棒は必要ではないか?」
そのグラスの存在を黙殺してセンは畳み掛けた。
とっくにセンが持っていこうとしていた話の流れは見えていたのだろう。
司祭は椅子に腰を戻すとグラスの水で口を湿し、もう一度センに目を戻す。
「必要というならば必要であり、必要でないといえばありませんが…」
一旦言葉を切り瞬きをした司祭の目が、楽しそうにきらりと光った。
「寝るところにも困っている方に、働き口を提供するのも人助けかもしれませんね」
その日からセンとアルノーは行動を共にすることになった。
**********
ちょっと…何か続いてる気がするんだけど…。
まさか、まだ来週もあたしの地位を脅かそうとしてるんじゃないでしょうね?
てかこの司祭、なかなか出来るわね…。
…あれ?これって学園物かRPGじゃなかっ(ry
春が近づいてきてるのかしら?ジーンよ。
今日は何ていうか、あたしの立場の危機ってやつ?
え?何のことか分からないって?
…きっと見てもらえれば分かると思うわ…。
お題は「08 もしも学園物(orRPG)だったら」。
いつもと同じく、この指令は『番外編用12のお題~もしも編~』
「ing+be...」さま(http://xy765.web.fc2.com/)からお借りしてるわ。
**********
それは今よりも30数年ほど前のこと。
センはそれなりに大きな街の、それなりに大きな聖堂の前に立っていた。
権威の象徴のように無駄に金色に塗り上げられたその建物は、何故か見ていて逆に哀れに感じてしまう。
「……まあ、俺が神とか何とかを信じてないせいかもしれないがな」
センの口から零れたその言葉を聞き咎めるものは、幸いにして今はまだ近くに居なかったようだった。
これからその大聖堂に乗り込もうというのに、中に居る人間をどこまでも刺激しそうな思考から抜け出せない自分に思わず苦笑が浮かぶ。
だが神を信じられないのはそれこそ昔からだったし、神官という人種を胡散臭く感じてしまうのもこれまた同じだった。
聖堂の入り口を潜ると、広いホールへと出る。
まず目に付いたのは、大きな柱とおそらく誰か聖人と呼ばれる人を模ったのであろう石膏像、天井に近いところに刻まれている昔語りのような壁画だった。
外側はやや醜悪にも感じたものだったが、中はさすがに聖堂らしい厳粛な空気が漂っているように思える。
「何か御用ですか?ここは神に仕えるものしか入れぬ聖域ゆえ、これ以上の進入はご遠慮いただきたいのですが」
いつからそこに居たのだろうか。
柱の影から姿を見せた神官の言葉に、センは眉根を寄せた。
やはり聞いた通り、この大聖堂の内に入るのは容易ではなさそうだ。
ふう、と抑えきれずに息を一つ吐くと、その場に膝を折り頭を垂れる。
「ああ…いえ、アルノー司祭にお取次ぎいただきたく……」
情報によればアルノーという名のまだ若いらしいその男は、この大聖堂にいる司祭や助祭たちの中で唯一、市井のことにも力を割いてくれる司祭だという。
逆に言えば他の司祭たちは神官以外の街の人間のこと等、ゴミかその辺に咲く野花の様にしか考えていないのかもしれない。
神官はセンに対してか名前を出した司祭に対してかやや嫌悪するように眉を寄せたが、ふいっと身を翻した。
「こちらに来なさい。勝手に周囲をうろつかれては迷惑です」
先程までは何の感情も含んでいなかった丁寧な言葉が明らかに棘を含む。
そのことにセンは思わず苦笑を零した。
小さな部屋に通されそこで待つように告げて、神官はアルノー司祭を呼びに行ったのか姿を消した。
この隙に聖堂の奥へ向かってもいい様に思えたが、人に見つかるかすると色々と厄介なことになる。
「それに、どうせ易々と入れるようなところには置いてないだろうしな…」
ぼそり、と呟くとその言葉に静かな声が重なった。
「何かお探しですか?」
センはギクリとして振り返る。
いつの間にそこにやってきたのか、眼鏡をかけた背の高い神官が1人面白そうにこちらを見ていた。
「……お前がアルノーか」
何となく推察して問えば、相手はにっこりと笑って首肯する。
やりにくい相手だ、とセンは感じた。
こういう何事にも流れる水のように対応する相手には、今まで苦い思い出しかない。
「探していると言うなら、しばらくの職と寝床だろうな…。そこで街でも有名なアルノー司祭に頼みごとがあるんだが…聞いてくれるか」
探りを入れるように相手の顔を観察しながらセンが続ければ、アルノー司祭は部屋にある椅子を勧め、自らも相対する椅子に腰を下ろした。
「性急な方ですね…。お話があるならば伺いましょう。私でお役に立てることがあるのでしたら」
その優しい柔らかな笑顔を何故か正面からは見られない気がして、センは僅かに目線を外す。
そうした後で、これでは何か後ろめたいことがあると白状しているようなものだと気づいて、胸の内で小さく舌打ちした。
それと気取られないように勧められた椅子に座り、間に挟んだ卓に腕をついて司祭と目を合わす。
「アルノー司祭は高潔な方で、色々と街の中のトラブルを解決しようと尽力していると聞いた。それならば物騒な事態にもなることもあるだろう…。どこかで要らぬ恨みを買っているかもしれないしな」
センは慎重に言葉を選びながら司祭の反応を少しだけ待った。
先程の反応と聞いた噂を重ね合わせれば、このアルノーという司祭なかなか敏い人物のようだ。
ひょっとしたら自分の目的すら何となく読まれているかもしれない…そう思えば、尚更下手な運びは出来ない。
アルノー司祭は小さくクスリ、と笑みを零す。
そしてセンの視線をやんわりと遮るように立ち上がり、棚の上にあった水差しを手に取った。
「そうですね。現にこの聖堂の中にさえ、私のことを快く思わぬ者はいるようですし」
グラスに水を注いで1つをセンに差し出し、もう1つを自分の前に置く。
「とりあえずお水でもいかがですか?喉が渇かれているでしょう」
「……用心棒は必要ではないか?」
そのグラスの存在を黙殺してセンは畳み掛けた。
とっくにセンが持っていこうとしていた話の流れは見えていたのだろう。
司祭は椅子に腰を戻すとグラスの水で口を湿し、もう一度センに目を戻す。
「必要というならば必要であり、必要でないといえばありませんが…」
一旦言葉を切り瞬きをした司祭の目が、楽しそうにきらりと光った。
「寝るところにも困っている方に、働き口を提供するのも人助けかもしれませんね」
その日からセンとアルノーは行動を共にすることになった。
**********
ちょっと…何か続いてる気がするんだけど…。
まさか、まだ来週もあたしの地位を脅かそうとしてるんじゃないでしょうね?
てかこの司祭、なかなか出来るわね…。
…あれ?これって学園物かRPGじゃなかっ(ry
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