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ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
 
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柱時計が時を刻む音だけが部屋に響いていた。
前に座っている黒尽くめの男は、一言も口を開かない。
沈黙に居たたまれず、少し身動ぎして続きを請うるように男を見つめた。
「・・・・・・・・・」
男の左と右で色の違う瞳は底が知れず、神秘的というよりは不気味さや恐ろしさを感じる。
今すぐに席を立ち、この場から逃げ出してしまいたい衝動と戦いながら、ただ男が再び口を開くのを待った。


「・・・・・・で? 俺に何を聞きたいと・・・?」
男が眉根を寄せ、少し不機嫌そうに問いを発する。
普段なら思わず萎縮してしまいそうな迫力を感じたが、それまでの沈黙に比べれば耐えられないことはなかったので、ホッと息を吐いた。
男はそれを見て、ますます不機嫌そうに顔をしかめる。
安堵の表情を誤解されたらしい、と感じた。


「話を。あなたがこの1ヶ月で体験したありのままの話を、聞かせてください」
柱時計がボーンとひとつ、時を鳴らした。

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