ある時代の流れの中に存在した、ひとつの研究施設を軸にしたキャラ紹介と物語。「戻る」はブラウザBackかパン屑リスト使用推奨です
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学生服を着たネコに引っかかれた手の甲が、ぴりぴりと痛む。
少し滲んでいる血を、風夏はぺろりと舐め取った。
あまり傷には良くないらしいと聞いても、つい無意識にクセのようにしてしまう行為だ。
「ウチ、けっこうネコ好きなんやけどなぁ〜…」
いささか声にショックがにじみ出てしまったのは仕方がないと思う。
ネコの愛らしさに思わずふらふらと近寄りかけたところを、先制パンチを食らって一瞬思考がストップしてしまったのだから。
恨めしげに見やる風夏の前で、ネコはしゅっしゅっと拳を繰り出していた。
「ネコパンチはこう、もっと可愛ええもんやと思うわ」
近所のネコがぱふっとパンチしてきた時は、現にもっと可愛かった。いや、むしろ、ネコパンチで愛らしさが120%アップしていた気がする。
とりあえず第二撃はかわしながら、どう対応したものか風夏は困惑した。やっぱりいくら可愛くないネコでも、攻撃するのは可哀想な気がする。
一方、風夏の相方でもある血の気の逸った火の精霊は、相手の種族や容貌などはまったく気にしないようだった。
「あ、リェン!待ってぇや…?!」
風夏が静止する暇もなく、第一撃がネコの毛の先をちりちりと焦がす。
「あーっ!」
思わず風夏はネコに駆け寄った。
学生服の襟元をつかんで、がくがくと揺さぶる。
「大丈夫やったか?!どこも熱うないか?」
その激しさに、ネコの小さい頭が前後にがっくんがっくんと動いた。かえってそれが相手にダメージを与えていることに、おそらく彼女は気がついていないだろう。
「にゃー!」
怒った顔をして、ネコが再びネコパンチを繰り出してきた。
それは間近に居た風夏にまともに入り、悲鳴を上げて体勢を崩した彼女にもう一発追い撃ちが入る。
ずざざっ…。
地面に滑りこけた風夏を守るように、リェンが前に出た。
代わってネコパンチを受けると、何もなかったように反撃を仕掛ける。しかし、それは相手の思わぬ素早い動きに惑わされて、不発に終わった。
「にゃふっ!」
それを好機と見てか、ネコの目がきらーんと光る。
ネコパンチとキックの連打をあびて、リェンの姿が一瞬揺らいだ。
「リェン?!」
風夏が慌てたような声を上げる。
さすがに可愛いから〜などとは言ってられなくなったようだ。
彼女は口の中で呪文を唱え、素早く魔法詠唱の動作に入った。
ここに来てようやく魔力を乗せた攻撃を放つが、それはわずかに掠っただけで終わる。
リェンも奮闘するが、ネコは強かった。
まずリェンが指輪に戻り、ほどなく盾となってくれる存在をなくした風夏も倒れる。
「ネコに負けるなんて…ショックや〜っ…」
風夏の力ない絶叫がその場に響き渡った。
少し滲んでいる血を、風夏はぺろりと舐め取った。
あまり傷には良くないらしいと聞いても、つい無意識にクセのようにしてしまう行為だ。
「ウチ、けっこうネコ好きなんやけどなぁ〜…」
いささか声にショックがにじみ出てしまったのは仕方がないと思う。
ネコの愛らしさに思わずふらふらと近寄りかけたところを、先制パンチを食らって一瞬思考がストップしてしまったのだから。
恨めしげに見やる風夏の前で、ネコはしゅっしゅっと拳を繰り出していた。
「ネコパンチはこう、もっと可愛ええもんやと思うわ」
近所のネコがぱふっとパンチしてきた時は、現にもっと可愛かった。いや、むしろ、ネコパンチで愛らしさが120%アップしていた気がする。
とりあえず第二撃はかわしながら、どう対応したものか風夏は困惑した。やっぱりいくら可愛くないネコでも、攻撃するのは可哀想な気がする。
一方、風夏の相方でもある血の気の逸った火の精霊は、相手の種族や容貌などはまったく気にしないようだった。
「あ、リェン!待ってぇや…?!」
風夏が静止する暇もなく、第一撃がネコの毛の先をちりちりと焦がす。
「あーっ!」
思わず風夏はネコに駆け寄った。
学生服の襟元をつかんで、がくがくと揺さぶる。
「大丈夫やったか?!どこも熱うないか?」
その激しさに、ネコの小さい頭が前後にがっくんがっくんと動いた。かえってそれが相手にダメージを与えていることに、おそらく彼女は気がついていないだろう。
「にゃー!」
怒った顔をして、ネコが再びネコパンチを繰り出してきた。
それは間近に居た風夏にまともに入り、悲鳴を上げて体勢を崩した彼女にもう一発追い撃ちが入る。
ずざざっ…。
地面に滑りこけた風夏を守るように、リェンが前に出た。
代わってネコパンチを受けると、何もなかったように反撃を仕掛ける。しかし、それは相手の思わぬ素早い動きに惑わされて、不発に終わった。
「にゃふっ!」
それを好機と見てか、ネコの目がきらーんと光る。
ネコパンチとキックの連打をあびて、リェンの姿が一瞬揺らいだ。
「リェン?!」
風夏が慌てたような声を上げる。
さすがに可愛いから〜などとは言ってられなくなったようだ。
彼女は口の中で呪文を唱え、素早く魔法詠唱の動作に入った。
ここに来てようやく魔力を乗せた攻撃を放つが、それはわずかに掠っただけで終わる。
リェンも奮闘するが、ネコは強かった。
まずリェンが指輪に戻り、ほどなく盾となってくれる存在をなくした風夏も倒れる。
「ネコに負けるなんて…ショックや〜っ…」
風夏の力ない絶叫がその場に響き渡った。
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